大腿ヘルニア
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大腿ヘルニアの手術5腹膜前到達法
「腹膜前到達法」は、大腿ヘルニアの手術法としては国内で比較的新しい方法です。
もともと、海外では存在していましたが、治療の結果が良くなく、避けられてきました。
最近になって、メッシュ法などとの併用でこの手術法も信頼できるものとして認められるようになりました。
腹膜前からヘルニア門である大腿輪に侵入する方法で、皮を切開し、外腹斜筋腱膜を切開し、内腹斜筋、腹横筋、横筋筋膜をそれぞれ裂いて、腹膜前腔に達します。
そうすることによって、視野が広く持て、操作もしやすくなります。
その腹膜前腔からヘルニア内容の整復をし、縫合します。
このときに、視野が広く取れているため、もし万一他のヘルニアと合併症状を起こしていても確認できるため、合併ヘルニアの存在を見逃す事はありません。
大腿ヘルニアの手術4メッシュ法
さまざまなヘルニアの手術に用いられているのが、「メッシュ法」です。
補強材料としてポリプロピレンのメッシュを用いる手術で、安全で信頼性があることから、幅広く使用されています。
「大腿ヘルニア」においては、ヘルニア門である大腿輪部に充填してヘルニアが脱出しないよう補強したり、「クーパーじん帯(ヘルニア門の脇を通っているじん帯)」に縫合して後ろの壁部を補強したりします。
ただし、この方法は大腿輪周辺に異物を置くことになり、手術後に周辺の筋膜などの動きがわるくなる可能性があります。
大腿ヘルニアの手術3Moschcowitz法
「大腿ヘルニア」の手術の中で、広がったヘルニア門(大腿輪)を閉鎖するという最もシンプルな方法が「Moschcowitz法」です。
「ヘルニア整復法」で直接ヘルニアを元に戻したあと、ヘルニア門を2~3針縫合して閉鎖します。
ヘルニア門である大腿輪には、もともと大腿動脈や大腿静脈が通っているので、それらを損傷したり締め付けたりしないように注意が必要です。
大腿ヘルニアの手術2McVay法
「大腿ヘルニア」の手術として、もっとも多く用いられているのが「McVay法」です。
これは、大腿ヘルニアのヘルニア門(大腿輪)付近にある筋膜やじん帯を縫合していく方法です。
筋膜やじん帯を縫合する事で、広がったヘルニア門を元に戻し、ヘルニア内容を整復します。
この手術は、様々な筋膜やじん帯が関わるため、手術中に血管損傷を行わないよう注意が必要です。
大腿ヘルニアに関していえば、この方法は再発率0パーセントとなっていて、非常に効果のある治療法となっています。
大腿ヘルニアの手術1ヘルニア整復法
「大腿ヘルニア」は、そのヘルニア門である大腿輪が比較的狭いことから、かんとん(脱出したヘルニアが元に戻らなくなる状態)率が高いため、多くは手術によって治療がされます。
もっとも単純な手術としては、「ヘルニアの整復法」があります。
腰痛局部麻酔をうち、ヘルニア門の脇を切開します。
そして、大腿輪から下に向かって脱出しているヘルニア内容を上に向かって引っ張って整復します。
引っ張っても整復できない場合は、ヘルニアが脱出している足側の皮膚をはがしそこからヘルニア内容を押し上げると整復されやすくなります。
ここで注意すべきは、ヘルニア内容の状態です。
変色しているなどの異常が認められる場合は、ヘルニア内容が壊死している可能性があります。
その場合は、さらにヘルニア内容を切除するなどの手術が必要になります。
大腿ヘルニアの手術ー鼠径法と大腿法
「大腿ヘルニア」の手術術式として、患部へのアプローチの仕方の違いによって大きく2つにわけられます。
鼠径じん帯(足の付け根に沿って存在)の上からアプローチするのが「鼠径法」で、下からアプローチするのが「大腿法」です。
鼠径法のデメリットは、ヘルニア内容が、鼠径じん帯下の大腿輪から下方に向かって脱出するため、特に問題のない上部にメスを入れるという点にあります。
健全な腹壁にメスを入れるため、患部である大腿輪だけではなく鼠径間後壁などの修復や補強を行わなければなりません。
また、大腿法のデメリットは、大腿輪のみが施術対象となるかわりに、視野が悪いため手術自体が困難になることが指摘されています。
しかし、大腿管にプラグを挿入する事で大腿輪を確実に閉鎖できるという「ヘルニア修復法」が大腿法の一つとして考案され、そのシンプルさ、手術時間の早さから、多くの患者に選択される術式となっています。
大腿ヘルニアの手術のポイント
「大腿ヘルニア」の手術のポイントは3つあります。
①ヘルニア嚢(ヘルニアを包んでいる膜=腹膜が伸びたもの)の切除
②ヘルニア門(=大腿輪)の閉鎖
③ヘルニア再発予防のための、周辺組織の補強
大腿ヘルニアのヘルニア内容は主に大腸で、腹膜をかぶって大腿輪から大腿方向へ脱出します。
この大腸を腹腔内に戻しても、大腸を包むために伸びてしまっている腹膜が元にもどりません。
伸びたものは再び戻ることはないので、これはきちんと切除します。
そして、大腿輪に不要なものがなにも通っていない状態、いわゆるもともとある大腿動脈や大腿静脈のみが通っている状態になれば、ヘルニア内容が通っていた隙間を縫合してヘルニア門を閉鎖します。
ヘルニア門を閉鎖した後は、再び大腿輪が広がらないように、周辺のじん帯や筋膜などをメッシュなどを使って補強します。
これで、通常の大腿ヘルニアは完治し、再発も少なくなります。
大腿ヘルニアの診断上の注意
「大腿ヘルニア」は、鼠径部のヘルニアの1つです。
通常は、大腿動脈や大腿静脈を通す「大腿輪」から真下にヘルニア内容が脱出します。
しかし、大腿ヘルニアが進行してくると、ヘルニア内容の先が前の方に向かってくるようになります。
そこは、また別に鼠径ヘルニアという病気が存在する場所でもあるので、そうなった場合、誤診に気をつけなければなりません。
大腿ヘルニアと他の鼠径部のヘルニアとの誤診を避けるには、やはりヘルニアがどこから脱出しているのか、「ヘルニア門」を確認することが重要です。
さらには、そこからヘルニアが出ている方向の違いも診断の材料になります。
鼠径部は、とても狭い範囲に生殖器や大腿と腹部間の様々な重要な器官が存在しているので、慎重な診断が求められます。
大腿ヘルニアのかんとん率
一般に鼠径部のヘルニアとして、「鼠径ヘルニア」と「大腿ヘルニア」が挙げられますが、その二つの病気の大きな違いは、かんとん発症率です。
かんとんとは、脱出したヘルニアが元に戻らなくなってしまう症状で、これが起こるとイレウス症状(腸閉塞・腸ねん転)の発症にもつながってしまいます。
具体的に、成人鼠径ヘルニアに比べて大腿ヘルニアのかんとん率は、8~10倍と言われていて、イレウス症状が原因で腸の切除を余儀なくされる場合も多くなっています。
また、大腿ヘルニアの約30パーセントとされているかんとん率も、60歳をこえると50パーセント近くにまで増えると言われています。
かんとん症状が起こると、ふくらんでいる足の付け根部分の腫瘤は大きくなり、硬くなります。熱を伴うこともあり、患者は腹痛を訴える事もあります。
ただ、高齢者や肥満者の中には、軽度の痛みのみで腫瘤も目立たず、かんとんを起こしていることに気づかないといった場合もあるので、注意が必要です。
大腿ヘルニアにかかりやすい人
太ももの付け根あたりにできる「大腿ヘルニア」は、鼠径部のヘルニアの1つです。
鼠径部のヘルニアである「成人鼠径ヘルニア」が男性に多くみられるのに対し、この大腿ヘルニアは女性に多く発症します。
特に、出産を経験した事のある中年以降の女性がかかりやすく、要因として、出産による筋肉の脆弱化が考えられます。
また、ヘルニアが通ってくる「大腿管」が男性より女性の方が大きいということも関係しています。
具体的には、女性は男性の3倍と言われており、その数値は60歳を過ぎると5倍にまでふくらむと言われています。
高齢化社会に伴い、この病気の発生率はますます上がっていくと思われます。